迷いの中で-2

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「ダメですよ」 熱気を感じる手はそのままに、首を左右に振った。 「私はやっぱり春立さんが好きです」 「……飯島」 佐藤さんの瞳は頼りなく下がる。 「それにこんな形で佐藤さんと関係を持って、先輩以上の関係になったら絶対に後悔します」 傷心で甘えた私が悪い。 佐藤さんは悪くない。 「ごめんなさい。一生懸命想いを伝えてくださったのに……」 「……俺こそ、悪かった」 彼は私の上から退き、離れた。 そして、背を向ける。 その後ろ姿はとても切なく映り、胸が痛い。 どうして佐藤さんではダメなのだろう。   でも理屈では言い表せない。 私は春立さんが好きなのだ。 「佐藤さん、ごめんなさい」 「……二度フラれてしまったな」 佐藤さんがははっと元気なく笑う。 私はひどい女だ。 泣きたいのは間違いなく彼なのに、涙が出た。
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