迷いの中で-2

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「だいぶ涼しくなったな」 「そうですね」 「俺は秋が一番好きだ」 「あぁいいですね、食欲の秋」 「飯島は食欲より酒欲じゃねーの?」 「……もう。たしかに否定できませんがひどいですよ」 佐藤さんを小さく睨んで見せる。 彼は、ははっと笑った。 ーー大丈夫。 普段の私たちの関係のようでいられている。 佐藤さんがいい人なので場を保てているのだろう。 どうか明日からもいい先輩でいて欲しい……。 密かに思いつつ、彼の横を歩いていた。 佐藤さんは駅に着くと「じゃあまた明日な」と言って大きく手を振った。 「……はい。明日」 「おやすみ」 「おやすみなさい。ありがとうございました」 深く頭を下げて、駅の中へ進む。 振り返り佐藤さんが見えなくなるのを確認すると、立ち止まりバッグを漁る。 まだ21時前。 春立さんに電話をかけても大丈夫だろう。 そう思いスマホを手にしたけれど……。 「……嘘」 なんてことだろう。 充電切れーー。
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