幸せへと向かって

4/23
前へ
/23ページ
次へ
「奈々ちゃんの将来のことを考えると“付き合って”の一言が言えなかった」 「どういうことですか?」 やっぱり意味がわからない。 「奈々ちゃんと真剣に付き合ったら、絶対離せなくなると思ったから」 今度は何なのだ。 「……春立さん、さっきから意味がわかりません」 私の心を喜ばせたり、落ち込ませたり、謎過ぎる。 わざとだろうか、と疑うほど彼が発する言葉には波がある。 「ごめん」 「いえ……」 素直に謝られても困るだけ。 ちゃんと説明してよーー。 彼を強く見つめる。 「奈々ちゃん今の仕事好きだよね?」 「え?えぇ……」 マーケ部の仕事は好きだ。 マーケティングの仕事は売るための道作り。 私が主にしているのは既存のサービスや商品の改良だが、自分のアイディアが発揮できると嬉しいもの。 やりがいは感じていると思う。 「でも、どうしてそんなこと……」 「うん……」 春立さんが難しい顔を見せる。
/23ページ

最初のコメントを投稿しよう!

88人が本棚に入れています
本棚に追加