112人が本棚に入れています
本棚に追加「二ヶ月前、定期検査があったじゃない?」
「……はい」
安村では、定期的に商品の調査を行う。
ロングセラー商品などを主に、消費者の意見を取り入れ、製品開発の発見に繋げているのだが、担当者は大変だ。
意見を取り入れるために、外部の調査会社に依頼をし、調査会社と共に作成するのだが、なかなか面倒な作業だ。
輪島さんは他にも仕事を抱えていて、確かに忙しそうだった。
できる女。
そう思っていた私には、苦痛には見えなかったけれど。
「あの辺りに彼が入院したの。残業に休日出勤、それに空いた時間には病院に通うっていう毎日を過ごしてたら、心が疲れちゃって……」
輪島さんはいつものキラキラした表情をすっかり暗くし、別人のように話す。
「なーんか栞がよく見えたのよねぇ」
彼女は“ははっ”と頼りなく笑った。
「栞と噂になるのも悪い気がしなくて。たぶん、栞の横の位置が好きだったんだわ。
栞は奈々ちゃんが好きって知ってたのに、素直に応援してあげられなかった。ごめんね」

最初のコメントを投稿しよう!