赤く燃える。

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「おいおい、何言ってんだ。悪い冗談はよせ」  いの一番に声をあげたのはともゆきだ。  いつだってそうだ。彼は何に対してもまっすぐで力強かった。  行動してから考えるタイプというのだろうか。他の皆が躊躇してしまいそうな時や、諦めてしまいそうな時、言いづらいことがあるような時も、彼は顔を上げ、真正面から向き合った。  その強さに、何度助けられたことか。  ともゆきと肩を並べて働けたことは、僕自身をも強くしてくれた。 「冗談とか、ふざけてるわけじゃないよ」 「本気なのか? おい、所長さんよ。一人だけ知った風な顔じゃないか。なんで黙ってやがった」 「黙っておいてほしいって、頼んだのは僕なんだ」 「にしたって、こんな……いや、そうか」  今日まで黙っていた上で、すべての業務を滞りなく終え、皆の集まるこの時間にあえて切り出した。  僕のそんな覚悟をくみ取ってくれたのだろう。  ともゆきは目を閉じて少し考えると、再び口を開いた。 「でかい声出して悪かった。お前が、決めたことなんだな」  ゆっくりと、しかし迷いなく頷いてみせる。  ともゆきは、怒っているようだったが、ともすれば泣き出しそうにも見えた。  頼む。そんな顔をしないでくれ。  そう言いたかったが、今の僕にはその言葉を紡ぐ資格はない。
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