世界が終わる

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 私の意識が、私の体から離れてからどのくらいたっただろうか。  体は眠ったまま、意識だけが夢の中にいるように世界をたゆたっている。  こうしていると、様々な考えが頭をよぎっては沈んでいく。  私が生まれたとき、空には満月が浮かんでいたらしい。  歩き始めるのが遅く、いつまでも抱っこをせがむので苦労したと母親は言っていた。  私の生まれた村には、大きな時計塔があった。  朝日に、夕日に、或いは雨によって、時計塔は様々な姿を私達に見せてくれた。  幼いときにはそこで遊ぶ事も多かった。  あとは湖。  深い緑色の大きな湖は、いつもきらきらと光っているようだった。  私の母親は魔女だった。  世間は科学が大きな顔をして歩いていて、魔法なんて誰も知らないような忘れられたものになってしまっていた。  私と母は、この村では受け入れられていた方だと思う。  ただ、私達に不信感を抱く人や、避けて通る人も決して少なくはなかった。  そんな中でも優しく接してくれていたのが、幼馴染みのマルコだった。  小さな村の中で数少ない同年代の子供だったこともあってか、彼はいつも私の家に遊びに来ていた。  村の人たちはそれを快く思っていなかったようで、何度も彼が叱られているのを見た。けれどそれに懲りることなく、彼はそれでも私と遊んでくれた。
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