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砂浜を不似合いな革靴で歩く…なんせいつも着るものももらったスーツだけで、自分には他に欲しいと思う欲求は起こらなかった。
不似合というのは、この夏時期に人間が着る服装からなんとなくわかる…私の服装は暑苦しく見えるのであろう。
でも、それを咎めるような視線もなく、やはり、海には誰もいない様子だった。
長らく平行に続く砂浜を歩き疲れて、並み立つ海まで近寄った。なぜか、今まで感じたことのない気持ち…気持ち?私はこれをなんと思うか…。
考えようとして、やっぱりやめた。
しばらくこの景色を見ていると
誰かいることに気がついた…
人がいたなど…きずかなかった。
人間の男だ、年齢層は高校生くらいなんだろうか?
はじめて人間の男が一人歩く様を見た。
大抵街ですれ違う沢山の人間たちの一角に過ぎない絵面ばかりで、人間の男というのをまじまじと見てしまった。
私が言えることないが、この黄昏時にどうしたのか。学校と呼ばれる教育現場の帰りなのか。
ただ人間の男は寂しげに水平線の彼方に今にも沈みそうな夕日をまぶしそうな眼差しで…でもしっかりとみていたのだ。
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