ものの気持ち～擬人化小説～

１ 絵画

ある日、少女が引っ越すことになりました。
少女が都内の大学に進学することになり、一人暮らしを始めるようです。

少女の家は大学の合格に浮足立っており、家族で新生活についてあれこれと話していました。
二つの絵画も、少女の合格を喜びました。

しかし、一つ問題が生じました。
どうやら、引っ越し先の家は狭く、一つしか絵画を持っていくことができないようなのです。

海の絵画は思いました。
『選ばれるのは、絶対、花の絵画だな。少女に毎日会えないのは悲しいけれど、たまには実家に帰ってくるだろう。その時に会えるくらいで我慢しよう。』
悲しい表情の海の絵画を見て、花の絵画はどこか悟ったような、不思議な笑みを浮かべるのでした。