1 絵画

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引っ越しの当日。 いよいよ、少女は持っていく絵を決めたようです。 海の絵画も覚悟を決めました。 「私、こっちの、海の絵画をもって行くわ。」 少女はそう言いました。 「え」 海の絵画は驚きました。少女の決定は、とても意外に思えたのです。 海の絵画は、悲しい少女の顔ばかり見ていたので、自分が嫌われていると思っていたのでした。 目を見開いている海の絵画を見て、花の絵画は言いました。 「海さん、私の言った通りだったでしょう。 貴方には貴方の良さがあるって。 ようやく信じてくれたかしら。」 海の絵画は、花の絵画の方に目を向けました。 そういえば、初めて、花の絵画と目を合わせた気がします。 いつも、卑屈になって、花の絵を直視することができなかったからです。 花の絵はそれはそれは優しい微笑みを浮かべていました。 「君は自分が選ばれなくて悲しくないのかい。 僕は、なぜ僕が選ばれたのかまったく見当がつかないんだ。 絵画が夢を見るはずはないが、夢を見ている気分だよ。」 海の絵画は思わずそう言いました。
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