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職員室を出て、廊下を進んでいると、一人の女子高生が近づいてきた。眼鏡をかけた小柄な生徒だった。
「カネクラさん、どうした。しばらく教室にいなさいといっただろ」
中原はその生徒に注意した。しかし、それを無視して、カネクラという女子生徒は
天沢と海藤に話しかけた。どこか必死さがあった。
「警察の人ですよね? しずる……殺されたんですよね。はやく、はやく犯人捕まえて死刑にしてやってください」
カネクラは巻くしたてるようにいった。
天沢と海藤は女子生徒の潤んだ瞳を見つめた。
「落ち着きなさい」
中原はカネクラをなだめると、教室へと促した。女子生徒はとぼとぼ歩いていった。
「すいませんね」中原が申し訳なさそうな表情を作る。
「いえ。あの生徒は?」
「堂本しずるの友達のカネクラって生徒です」
兼倉透子、ということを教えてもらった。堂本しずるの唯一の友達だったという。
案内された部屋は面談室だった。
来客用ではなく、生徒の話を個別に聞くような小さな室内だった。
天沢と海藤は椅子に座った。緊張気味な体育教師は、ドアノブを握りながら立っている。
「誰を呼んできたらいいのでしょう?」
大きな体から漏れる小さな声に、天沢は頷いた。西脇愛美、鈴木弥生、藍田順子――彼女らを順に呼んでほしいと伝えた。中原大輔の表情に不安の色が滲んだ。
分かりました……中原は面談室を出た。
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