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程なくして、中原と一緒に現れたのは、西脇愛美だった。
胸元まで伸びる黒髪ロングの毛先は、ゆるいウェーブがかかっていた。
中原は、「担任である私も席に着かせてほしい」と頼んできたが、天沢はやんわりと断った。教師は、渋面を作りながらも、部屋を出た。
「西脇愛美さん、ですね?」天沢は警察であることも伝えた。
「はい」女子高生の声はひどく渇いていた。
「亡くなったクラスメイトの堂本しずるとの関係で、教えてほしいことがあります」
西脇の顔色が露骨に怯えたのを見てから、天沢は話を訊いていった。
テーブル越しに、女子高生と刑事は向き合った。
イジメのことを隠し通そうとしていた西脇だったが、天沢が堂本しずるの日記のコピーを見せると、口を開けて震わせた。
日記のその文字は、憎しみを放つように、書きなぐられている。
「西脇愛美さん……あなたにイジメを受けていたことが、ここに書かれてある」
西脇はうつむいて、視線を膝の上に置いていた。他の二人に相談したい、とその視線は物語っていた。
沈黙が続いたので、天沢は別の生徒と話をすることに決めた。
次は、鈴木弥生だった。
ボーイッシュな少女だった。肩にすらかからないショートカットは、スポーツに励む少女そのものだった。そんな鈴木も動揺を隠しきれていなかった。日記のコピーを見せると、言葉をつまらせた。
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