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最後に呼んだのは、藍田順子だ。
高校を卒業したらキャバクラで働くんじゃないか、というほどの派手さがあった。刑事に対して、腕を組む強気な姿勢から、おそらく三人組のリーダー格だと思われた。
「なんにも知らないっすよ、お巡りさん。そんなのただの作り話かもしれないじゃん」
つけまつげで飾られた猫目は、挑戦的だった。
「この日記が想像だと?」天沢はコピーを見せつけた。
「そそっ。休み時間に小説読んでるような子だったしさ」
藍田は刑事に目をそらさず答えた。生意気な小娘、と形容したくなる面構えだ。
隣で気配がした。海藤が鼻息をたてながらいった。
「こんなことが作り話なわけないでしょ。去年から、毎日のように書かれてあるのよ。生々しいことばかり。想像で書けるわけがないじゃないのよ」
海藤は身を乗り出した。
「それに、大人の話を聞くのに、その態度は何よ。ましてクラスメイトが死んじゃったんだよ」
海藤の語気が荒くなる。
「うっせーよババア。なに熱くなってんだよ」
「なっ……」海藤が怒りをこらえているのが分かった。
天沢は目線で、落ち着けと送った。
「藍田さん。聞き込みを始めれば、それが嘘だとすぐ分かりますよ」天沢が継いだ。
「ご自由に」藍田は刑事に上目遣いで挑発した。
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