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イジメを行っていたことは認めたが、三人は堂本しずる殺害だけは否認し続けた。
「でも、ほぼほぼ確定なんじゃない? その三人組で」
「おそらく……でも、決定的証拠が……」
「だって、あの動画観たでしょ」
凄惨な内容だった。三人は堂本しずるに殴る蹴るを繰り返していた。口を封じられて号泣する堂本しずるを思いだしただけで、胸が奥がしめつけられた。
「ええ」
堂本しずるが残した日記にも、三人に殺されるかもしれない、という内容があった。現段階では、三人の犯行が一番色濃い。
海藤は腕時計を見た。
「あ、そろそろ夕方の捜査会議だ。行ってきます」
海藤はデスクの資料をまとまて、トントンと揃えた。ポケットの中の銀テープがあることを確認すると立ち上がった。その銀テープは海藤の宝物だ。
「行ってらあー」珠子が小さく手を振った。
海藤は講堂に入り、席に着いた。
会議が始まる寸前で、天沢が戻ってきた。
海藤の隣に座る。雛壇の管理官は眉根を曲げて天沢を見つめていた。
海藤は天沢に語気を強めていう。
「遅いじゃないですか。なにが"七分で戻る"ですか。パスタ茹でるんじゃないですから」
「待ち時間をパスタに例える人初めて見たよ」
「それより、なにか手がかりは見つ」
ゴホン――。
雛壇の管理官がわざとらしく咳払いをした。捜査員が皆、海藤と天沢に冷たい目線を注いだいた。
すいません……、海藤は目を伏せて謝った。
ふふっ、隣で天沢が声を潜め笑っていた。
海藤は舌打ちをこらえて、こんにゃろうめえ、と心の中で吠えた。
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