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「いいんですよ刑事さん。正直にいっていただいて。お金の受取人は私になっていたんだから、疑われても仕方がありません」和恵は膝に目を落とした。 「半年前から、急に保険の掛け金が上がっている。なぜでしょうか?」 「私も知らないんです……」 「娘さんが勝手に?」 「そうとしか考えられなくて。私の印鑑をいつでも持ち出せるのはしずるだけですし。でも、そんなことをする意味が分かりません」 海藤は、和恵の目を見た。 嘘をいっているようには見えない。 保険屋のことでいうなら、最近の保険会社は雑な契約をするところがあると聞いたことがある。 以前にもニュースになった。契約をとるために、偽の契約書を交わしたり、営業マン自らが初月の保険料を立て替えたりと、さまざまな不正が発覚した。とにかく契約を交わしたい営業マンからすれば、保護者の立ち合いなどなくても、多目に見ることもあり得るだろう。 ただ、もし、堂本しずる本人が、自身への保険料をあげたなら、一体どういうつもりだったのか。藍田達や中原大輔に殺されてしまうのを覚悟して、保険料をあげたのか。死を予期していたのか? また、その保険料をどうやって払っていたのか。まだまだ分からないことが多い。 「そうですか」 天沢が頷きながらいった。ところで……彼の語調が変わった。 「あちらの写真に映っているのは、しずるさんと兼倉透子さんではないですか?」 天沢の視線は、テレビの下の写真立てに向けられていた。五、六歳の女の子二人が、ピースサインを作り笑っている。 「はい、そうです。よく分かりましたね」 「面影があります。しずるさんと兼倉さんは昔から仲が良かったんですよね」 「そうです。保育園からの幼なじみでした。一番の親友です。良ければアルバムお持ちします」 和恵は正座を崩し立ち上がると、棚からアルバムを持ってきた。 「こちらです」
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