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ウィリアムはその髪色がとても好きだった。初めて見た時から触れたかった髪に手を伸ばし、何度も感じた柔らかい感触に目を細める。
「ウィリアム……」
突然髪に触れたウィリアムの行動は、国王に対する不敬に当たる。
近くに親衛隊や貴族が居れば、大騒ぎになっただろう。
だが当のエリヤに咎める気はまったくなかった。逆に、もっと触れて欲しいのだと手に擦り寄る。
甘える仕草にくすくす笑うウィリアムの腕が、エリヤの細い肩に回された。
「……どうした? 何か気になってるんだろ?」
促す態度は子供をあやす様で気に入らなかったが、エリヤは素直に口を開いた。
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