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過激で冷酷、心に住まわせる者以外をあっさり排除する癖に、基本的に人という愚かな生き物を嫌いになれない。
逆に言うなら、だから『優秀な執政官』足り得るのだ。
「オズボーンが手を引くよう、適当なところで切り上げる必要がある……」
「私が手配しましょうか?」
「買って出るなんて珍しいな」
戦いが始まることを喜んでいるだろうと思いきや、正反対の提案をするドロシアへウィリアムが顔を向ける。手元のポットから新たな紅茶を彼女のカップへ注いだ。
優雅な仕草で、彼女の細い指が薔薇の砂糖へ伸ばされる。小粒のそれを拾い上げ、そっと琥珀色のアッサムへ滑らせた。
ゆっくり溶ける砂糖を見つめるドロシアは、スミレ色の瞳を瞬いてウィリアムへ向ける。
「その傷のお詫び、ということに……」
真の理由は隠されてしまった。
「……本当に仲がいいんだな」
拗ねた口調が飛び込んできて、慌てたウィリアムが椅子から立ち上がる。テラスの手摺に寄り掛かったエリヤが唇を尖らせているのを、笑顔で引き寄せた。
おとなしく腕の中に納まるエリヤが、気遣う視線を向ける。
「大丈夫、そんなに痛くないよ」
痛くないわけがない。そう断言できるのに、エリヤは小さく頷いてウィリアムの胸に顔を埋めた。
「あらあら、エリヤが甘える姿なんて珍しいわ」
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