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県立の総合病院に、受け入れの要請があった。
「近くのバス停でダンプカーが突っ込んだ様です」
看護婦は医師に伝えると、即座に救急搬入口へと向かった。
四人が搬送されて来て、医師達は怪我の様子を判断する。
「この子が一番重症だな。早く検査に回して!」
そしてすぐにストレッチャーを治療室へと進めた。
修一は運ばれた病院を聞きつけて、走り出していた。和美…無事でいてくれ!
血を流して倒れていた和美を見て、修一は気が気でなかった。
あの子の血は特別なんだ。
俺が行かなきゃ…
病院はもう目の前だ。もう少しだ!
「RHマイナス?」
「ええ、輸血の補充がここにはありません」
看護婦は困った顔をして医師に伝えた。
RHマイナスは、全体の〇.五%にも満たない。
腎臓が一つは潰れて使い物にならないし、それにもう一つも損傷が酷かった。
「とにかく他の病院を当たってくれ!それと腎臓器のドナーが必要だ」
時間が止まってくれればと祈らんばかりであった。
すると治療室の電話が鳴った。
看護婦が受話器を上げて対応する。
「先生!ロビーでこの子の親族らしき人が、わめいてるらしいと連絡が」
「本当か?」
医師は急いで、ロビーに駆けつけた。
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