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ロビーに着くと、汚れた服を着た男が騒いでいた。 「頼むよ。俺の血を使ってくれ!俺もRHのマイナスなんだよ!」 「ちょ、ちょっと落ち着いて!」修一に胸ぐらを掴まれて、若い医師が困惑している。 「あなた、あの子の親族なんですか?身元の分かるものが無くて連絡に困ってたんです」 「あの子の名前は島田 和美。俺は三沢と言って…」と、修一はそこで口をつぐんでしまった。 父親と分かれば、またややこしい事になりかねない。 「と、とにかく検査を…検査をしてくれ!」 とにかく時間が無い。 医師は慌てて「分かりました。検査室に来て下さい」と修一を促した。 周りの患者達は、修一の風貌に顔をしかめている。 その横目をよそに、修一は医師について行った。 検査の結果、輸血に問題が無いと分かった。 そして腎臓移植の事も、医師から聞かされた。 「勿論、俺のを使ってくれ。こう見えても身体は健康なんだ。いいか、血は出来るだけ沢山取ってくれよ!」 そして手術が始まった。
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