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罪を償った後も、上手くはいかなかった。
修一を雇ってくれる所など一つもなく、いつしか森林公園にブルーシートを連ねる、浮浪者の中の一人となっていた。
早くに両親を亡くし、兄弟もいない修一にとって、頼れる身内など何処にもいなかったのだ。
そんなある日、偶然に美佐子を見かけた。
別れた妻に声をかける勇気などなく、そっと後をつけてみた。
すると美佐子が入った家は、大きなお屋敷だった。
表札を見ると、島田 良太郎、美佐子、和美と書かれていた。
「そうか。再婚したのか…」
十五年も前なら美佐子はまだ三十だ。まだまだ若い。
修一はそう呟きながら、屋敷を後にした。
それ以来修一は、屋敷の辺りをうろつく様になった。近づいてはいけない。
自分とはもう、赤の他人なのだ。
そう思いながらも、和美の事が気になって仕方がなかった。
そんなある時、隣の小屋に住むオクダイが声をかけてきた。
彼は修一より、十歳程年上らしい。
オクダイと言うのは、勿論あだ名だ。
世捨て人にとって、過去は余りにも大きな代償でもあり、名前を捨てる人間もそう珍しくもなかった。
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