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「あ、ありがとう…」修一は小さく呟いた。
「私の方こそ、助けてくれてありがとう」
すると和美の携帯が鳴った。
「お母さんが来てくれたみたい。おじさん、近くに住んでるの?」
「ああ、まあね」
「じゃあ行くね。ありがとう、おじさん」
和美はそう言って、公園の出口へと走って行った。
修一はその場で、ただ呆然と立ち尽くしたまま動けなかった。
数日後、昼下がりの陽気な日曜日だった。
ブルーシートで囲った小屋の前で、水洗いをした衣類を干していた修一は、声を掛けられた。
「おじさん」
振り向いた先には、和美が立っていた。
「え、え、どうしてここに?」修一は突然の訪問に驚きを隠せなかった。
「あのおじさんに教えてもらったの。頬っぺたに可愛いクマの絆創膏を貼ってるやつは、他にはいないって」と和美は笑いながら、オクダイの方を見ていた。
オクダイはにやにやしながら、自分の住処に入っていった。
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