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3
修一にとっては、まさに至福のひと時だった。
まさかこんな日が来ようとは、夢にも思わなかった。そして修一は、一番知りたかった事を訊ねてみた。
「和美ちゃんは、今、幸せかい?」
「うん、とっても。お母さんが勉強しなさいってうるさいけどね」と和美は舌をペロッと出した。
「そうかい、そうかい」修一は頷きながら、安心した。自分が居なくなった事は、間違いではなかったのだ。修一は、少し涙を浮かべた。
「ええ?泣くほどの腕前でもないのに」と和美は、空の弁当箱を見ながら照れてる。
「そんな事ない。美味しくて涙が出る事もあるんだよ」そして二人は訳もなく、共に笑った。
和美が帰る前、修一が言った。
「気持ちは嬉しいけど、こんなとこにはもう来ない方がいいよ。きっとご両親も心配するから」
すると和美は「駄目かな?おじさんといると何だか安心するし、たまに一人ぼっちが寂しい時あるんだよね」と少し顔を曇らせた。
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