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和美の今の父親、島田 良太郎は量販店を経営しており、母親の美佐子も良太郎の仕事を手伝っているらしい。 暮らしは豊かだが、一人になる事がしばしばあるのが、たまに寂しく思うのだと言う。 修一の本心は一緒に居たいと願っても、これは和美の為なのだと自分に言い聞かせた。 渋々了解して帰って行った和美であったが、それでも修一の心は何故か晴れなかった。 夜になり、オクダイが顔を出し「元気出せよ。お前のした事は間違っちゃいない。あの娘の幸せを願って遠くから見守る。それが一番なんだよ」そう励ました。 オクダイも色んな経験をして来たのだろう。 何処から調達して来たのか、パックの日本酒を片手に「ほら、飲めよ」と二人で酒を飲み交わした。 久しぶりに飲んだ酒の味に修一は、心の痛みが和らいでくれればと、そう祈るばかりであった。
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