鏡の中に何かいる

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 今まで全く目立たなかったやつらなのに、桃香先生が教育実習生としてこの学校にやっ来た途端、キビキビとした行動を取り出した。しかも何だかんだ立ち振る舞いまで、男らしくなって。これまで余りにも目立たなかったせいで、名前すら覚えていない。私は見た目でそいつらを、メガネ、チビ、カクガリ、パーマと名付けた。その中でも隊長っぽいのが、第一声を発したメガネだ。  それにしても、桃香先生の表情が苦しそう。額は汗ばみ、血管が浮き出て、こめかみの辺りが痙攣しているように見える。心配して近寄る私たちと桃香先生の間に、割って入る親衛隊の四人組。 「すぐに、保健室にお連れしよう!」  メガネの掛け声に、他の三人が桃香先生に手を差し伸べて支える。私と麻美は、邪魔だとばかりにどかされて、その場に立ち尽くした。 「なんだろね……」  桃香先生を囲みながら保健室に向かう親衛隊を見ながら、麻美がつぶやく。  教室に戻ると、霧島玲が、冷めた視線で私たちを見る。私はそのまま霧島玲の席に歩み寄る。 「霧島さん!」  霧島玲の前に仁王立ちして、見下ろす。 「何かしら?」  玲は長い髪を耳にかける仕草をしながら、視線だけを私に向けている。 「美久のこと……、何か知ってたりしないよね?」 「さあ? 知らないわよ。私は、な~んにも。また、不登校にでもなったんですの? 弱い人……。あなたもそのうち分かるわ。弱いものは、自然と淘汰される運命なのよ」 「何かしてたら、タダじゃおかないわよ!」  言いながら、踵を返した。 「ちょっと、彩乃。襲撃する前に一言私に声かけなさいよ。友達としての心の準備が……」     
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