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指示を受けた玲の取り巻きたちが、あいた壁の穴に殺到し、ギュウっと漫画みたいに詰まった……。
廊下に放り出された私は、あっけにとられてそれを見ていたが……。
「アヤノ……、これ、抜いて……」
ハロルドの苦しそうな声に、やることを思い出した。
ハロルドの胸からトロフィーを引き抜く。血がベットリとついたトロフィーを片手に、震えながら泣きそうになった。
「ありがとう……、アヤノ……」
ハロルドが、震える私の頭を引き寄せて、おでこにキスをした。
「どさくさに紛れて、何やってんのよ!」
私は反射的に、ハロルドをぶん殴った。かなり間抜けな顔で、頬を抑えながら私を見たハロルドだったが、すぐに真顔になってスックと立ち上がった。
私が振り向くと、モモちゃん親衛隊の四人が、こちらを睨んで突っ立っていた。どいつも、目が白眼をむいて、顔色も青白い。ゾンビとまではいかないが、ほぼそれに近い見た目になってしまっている。
四人は声も出さずに、ズンズンとこちらに歩み寄ってくる。
「アヤノ、走り抜けるぞ!」
私たちが、走り出した途端、後ろの方で轟音がした。振り向くと、さっきこぼれ出た壁のあたりが更に崩壊し、玲の取り巻きたちが無残にも飛び散って、廊下に倒れている。
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