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一人の少女が、鏡を覗き込む。もう一人の少女は、入り口のあたりでその場に立ちすくみ、震えたまま動かない。
「キャアア!!」
入り口にいた方の少女が、声を上げる。鏡を覗き込んでいた少女が、その声に驚いて振り返る。
そこには、体の半身が欠損した女生徒が立っていた。
右半身のみで、奇妙に直立している。その右手がゆっくりと動き、振り向いた少女の肩を掴む。少女はそのまま、背後の鏡に叩きつけられる。
「やだぁ!! 助けて!」
鏡に叩きつけられた少女が、叫びながら鏡の中にめり込んでいく。
「どうしよう? どうしよう!?」
何が起こっているのか、わけもわからず、うろたえるもう一人の少女。鏡の中にのめり込んでいく少女を助けようと、泣きながらも必死に手を伸ばす。
その伸ばした手を、見えない何かが掴んだ。少女の手が鏡の方に向かって、引っ張られる。震える両足で必死に地面を蹴るが、ズルズルと引きづられていく。手首を掴む見えない何かに、もう片方の手を添えてかきむしるが、そこには何も存在しない。
引っ張られた手が、鏡に届きそうになった時、少女は鏡の中を見て、顔をひきつらせる。
鏡の中で自分の手をしっかりと掴む、左半身のみの人影。
「うわぁぁああああっ! いやぁぁぁ!!」
その日、三人の少女が校内で姿を消した。
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