鏡の中に何かいる

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 まわりを見ると、黒い影は一つではない。そのうちの一つが、私を追い抜いて、前方に移動し、目の前の大きめの水溜りから、化け物が出現した。慌てて、方向転換するが、腕を掴まれる。門脇さんは、振り切れると言っていたが、結構な力で掴んでくる。もう一つの水溜りからも、化け物が出現して、足を掴まれた。私は、バランスを崩して、水溜りに足を突っ込んだ。  直感的にヤバイと思った……。水溜りにしぶきが上がる。しぶきと共に、化け物も四散した。  不安定って……こういうことか……。  もう片方の水溜りにも、足を突っ込んだ。水溜りが揺れて飛び散る。化け物も揺れて、消えた。  私は走り出す。走りながら、不安がよぎる。正門はなんで閉まっていたのか? 他の門は開いているのか? でも、止まるわけにもいかない。所々の水溜りから、化け物が次々と出現する。水溜りの大小にかかわらず、伸びてきた手は、私の手足を容赦なく掴んでくる。動きが止められてしまわないように、水溜りを踏みつけて、それを振りほどきながら、生垣に沿って、グラウンドを駆け抜ける。  化け物に掴まれる度に減速する。濡れた制服が体に絡みつき、体力を消耗する。グラウンド側の門に向かうものの、考える。あの門は普段使われていない……。そもそも開いているはずがない……。絶望が、頭をよぎるが、とにかく走り続けるしかない……。 「アヤノ!!」  生垣の外から、私を呼ぶ声。学校の外の道を、私を追いかけるように走る影。 「ハロルド!!」 「この先! 飛び込んで!!」     
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