魔法のナイフ

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と玄関で靴を履こうとした瞬間、友子のポケットの中に見覚えのある封筒が入っているのが見えた。その封筒は私の貯めているお金が入っているものだった。 「ねぇ、友子。そのポケットに入ってる封筒……」 「ん?これは私のだよ。」 「中身見せてよ。」 と友子に襲いかかり、封筒を取り返そうとした時、玄関に置いてあった、あのナイフが見えた。友子が自分の手を振り切り逃げようとした瞬間、グサッ。友子の心臓にひと刺しして友子は血を出しながら倒れてしまった。私は少しの間何もすることができず、その場に立ち尽くしていた。倒れてる友子のことを見て悲しみより、今後の事について考えていた。警察に行けばいいのか、死体を隠せばいいのか、それとも逃げ出せばいいのか……。色々考えたが高校3年生で卒業も控えているため、警察に捕まるのはまずいと思い、その日は風呂場に隠した。もちろん親には 「風呂の水道壊れてるから当分入れないんだよね ー。」 などと言い風呂場に近づけないようにした。 (とんでもないことをしてしまった。) その日の夜は眠れずに朝を迎えた。 朝になり学校に向かう準備をしていると風呂場から異臭がする。その異臭の正体は言わずとも分かる。気になっていたが、風呂場を覗くことは出来なかった。 学校の朝のホームルームの時に 「友子さんが今日はお休みです」 と先生の口から言われた時はドキドキで心臓が飛び出そうになった。自分が殺したことがバレているのではないかと思い怯えていた。そして昼になり、いつものようにトイレで弁当を食べようと教室を出た瞬間、私の好きな彼とぶつかり弁当を落としてしまった。私は 「すいません。」 と言い落ちた具材を弁当の中に戻そうとすると、彼が一緒に拾ってくれたのだ。 「ごめんな。教室から出ていつもどこで食べてんの?」 「………」 流石にトイレの中とは言えず、困っていた時に 「食べる相手いないんだったら俺と一緒に食べない?」 と言われた。私は嬉さのあまり固まってしまい 「私、隣のクラスの人と食べる約束してるから!」 と嘘をついて立ち去ってしまった。トイレに入り、鍵を閉めて、弁当を見つめる。 (久しぶりに話したなぁ。これはあのナイフのおかげ!?) 私は彼がもっと好きになり、もっと一緒にいたいと思った。あの『願いが叶なうナイフ』は本物なのか、それとも偶然か。しばらく様子を伺おうと1週間が過ぎた。
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