24歳の午後

4/28
前へ
/543ページ
次へ
高校時代、ソフトボール部で共に汗を流してきた智子は、誰から見ても超体育会系の女だった。男のような短髪で、年中真っ黒に日に焼けて、体型も逞しくて声も雷のように大きい。 また、目鼻がはっきりとした凛々しい顔立ちなので、『あんたが男だったら女をたくさん泣かせてるよね~』などと、部の先輩たちに真顔で言われたりした。 智子は2年生の時からチームのエース。そして彩子は二塁手として幾度も彼女の苦しい戦況を救い、打者としてもチャンスに強いタイプだったので、チームメイトとしての信頼も厚かった。 読書が好きなのも共通点で、話が合う。ジャンルは多少違うが、そこがまた話の幅が広がるきっかけになって楽しいのだ。 何より彼女と話すのは楽である。 部を離れると穏やかな表情になり、彩子の多少神経質な相談ごとにも真面目に乗ってくれる。大人っぽい落ち着きが有難かった。 充実した高校生活を送れたのは智子のおかげだと、心から感謝している。
/543ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2286人が本棚に入れています
本棚に追加