イブのお見合い

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翌朝。朝食の席で、母が彩子にあれこれと質問してきた。 今朝に限って父と真二が揃って食卓に付き、箸を止めたまま母子の会話に聞き耳を立てている。 彩子はいたたまれず、早めに出勤した。 会社に着いてもそわそわして、ちっとも落ち着かない。 浮き足立ったまま一日を過ごし、終業後はまっすぐ帰る気にならず、いつものコーヒースタンドに立ち寄ることにした。 誰かに相談したくてたまらない。そして、心が落ち着くような言葉を与えてほしいと、切実に願っている。 (智子にメールしてみようか) 高校時代、悩みごとがあるとすぐ彼女に相談したものだ。 迷った挙句、スマートフォンを取り出してメッセージを送った。 <相談したい事があります。時間あるかな? もしよければ会って話したいです> コーヒーをふた口飲むうちに着信音が鳴り、彩子は慌てる。 驚くほど早い返信だ。 <彩子に相談されるのも久しぶりだね。もちろんOKだよ。そういえば、雪村たちも会いたがっています。皆も一緒に会う? それとも二人きりがいいかな>
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