24歳の午後

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卒業後も、ちょっとした行楽や旅行にも出かけたり、「デート」をしたものだ。 本当に楽しかった。 それが、去年の秋頃から智子の休日に他の予定が入るようになり、あまり会えなくなってしまう。 そして半年前、5月のある日。 久しぶりに会った智子に、つき合っている男性と婚約し、来年の3月に結婚すると聞かされたのだ。 待ち合わせた午後のカフェで、彩子は窓際のポトスを眺めていた。 なぜか、智子と眼を合わせられなかった。 それまでも感じていた。でも今、はっきりと彼女はきれいになっている――その姿は、窓からの日差しに映え、とても眩しくて。 高校時代の、あの逞しき親友はもういない。 目の前には、長い髪をきれいに結い、美しく化粧を施し、幸せに微笑む女性(ひと)がいる。 だけど、彼女の温かで優しい眼差しはあの頃と何も変わらず、彩子を包んでくれる。まるで別れを告げられるような哀しさに、泣きそうな自分に戸惑っていた。 友達に対してそんな感情を抱くのは初めてだった。
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