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まずはビールで乾杯。アルコールに弱い彩子とまりはひと口だけ飲んで、あとはウーロン茶にする。
続いて運ばれてきたのは、女子会向けのコース料理だ。旬の食材を使った、適度なボリュームのメニューである。
大皿も小皿も次々と空にしながら、わいわいとお喋りした。
ソフトボール部の話題が出ると、ますます盛り上がってくる。県大会で誰がヒットを打った、バントに失敗した……などなど。
特に雪村が事細かに覚えていて、皆を驚嘆させた。
「さすがキャッチャーだね、雪村」
智子が感心して言うと、
「そりゃあね、決勝戦は絶対勝つつもりだったからさ。すごく印象に残ってるんだよ」
「高校最後の試合だったもんね」
皆、遠い目をした。今はもう遠い思い出の、18歳の夏……
その時その時、なんにでも一生懸命すぎて、いっぱいいっぱいだったあの頃。
コース料理が終わり、話も一区切りついたところで、ホテル内の喫茶店に移動した。
智子は酔ったようで、顔が真っ赤だ。彩子はふらつく彼女を心配して、肩を貸した。
一方、かなり日本酒をあけたはずの雪村とエリは素面も同然。彩子はまりと一緒に、彼女達の酒豪ぶりに感心した。
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