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「一度会ったきりだろ? しかも日が暮れてから、夜景のきれいなレストランでさ。私だったら真っ昼間にもう一度会うね。そうじゃないと何とも言えない」
「へえ~、なるほどねえ」
智子とまりは頷いている。二人はどちらかといえば、初めから好意的に人と接するタイプだ。雪村は彼女らに意見を促す。
「どう思うよ。特に智子、彩子のことは、お前が一番よくわかってるだろ?」
「う、う~ん。確かに感じのいい男性だよね。ただ……」
「ただ?」
皆、一斉に智子に注目する。彩子の一番の親友として、核心をついた意見を述べるのではと期待して。
「ただ、彩子の好みと少しイメージが違うんじゃないかな、と思った」
「彩子の好みって、どんな感じ?」
まりが大きな眼をさらに見開いて智子に迫る。
飲み物がきたので、場はひとまず沈黙した。しかしウエイトレスが去ると、再び額を寄せ集める。
(どうしてこんなに熱心に?)
彩子はだんだん、まな板に乗せられた鯉の心境になってきた。
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