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「でも、お見合いって何べんも会っていいものなの? 大丈夫なの、彩子?」
まりが心配そうに訊く。
彩子も初めてのことなので何とも言えないが、
「伯母さんは堅苦しく考えなくていいって言うけど……うん、とにかく誠実に向き合う」
自然に返事することができた。
不思議なことに、いつの間にか道筋が明らかになった気がする。雪村のひと言は、彩子のもやもやとした迷いを、吹き飛ばしたのかもしれない。
原田良樹のことを、誠実に考えたい。
結論が出たところで、彩子の相談話は終わった。
「ところでさあ、みんな男性と付き合うポイントってあるでしょ。参考までに、ちょこっとだけ教えて?」
異性の話題に刺激を受けたのか、彼氏募集中のまりが目をきらきらさせて質問する。
「ねね、智子は後藤さんのどんなところが結婚の決め手になったの?」
指名を受けた智子は、「そうねえ」と、しばし思案する。酔いはほとんどさめた様子だ。
「前向きなところかな。どんなことがあっても、めげずに突き進むところに惹かれたわ」
「生活力ね、それは」
エリの言葉に、智子は素直に頷く。
「うん、そうかもしれない。生活力は、私にとって重要なポイントかも」
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