2286人が本棚に入れています
本棚に追加
『彩子には結婚式に絶対に来てほしいの。一番大事な親友なんだからね』
智子のストレートな言葉に、とうとう涙がこぼれ落ちてしまう。人に涙を見せるのは何年振りだろう。
『おめでとう』
彩子は親友の手を握りしめ、泣き笑いでやっと言えた。
彩子は思い出した。
5月の午後の日差しの中、微笑む智子の眩さを。
運ばれてきたホットコーヒーをひと口含む。
今、彩子は恋愛に憧れている。
親友をあれほど美しく変身させた恋とは、どんなものなのだろう。
そして……とある事実に愕然とするのだ。
彩子は今まで、好きになった男子はいるが、きちんと付き合ったことがない。まったくの恋愛無精で、何も考えずに生きてきたのだ。
最初のコメントを投稿しよう!