24歳の午後

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このまま家に帰る気にならず、彩子は駅前のコーヒースタンドに立ち寄った。本日2杯目のホットコーヒーを口にし、冷たい風の吹く街を眺める。 日曜日の夕方。 窓の外は駅に向かう人、これから街に繰り出す人、様々な人が行き交い、にぎやかだ。 高校生とおぼしき男女のグループが、はしゃぎながら通り過ぎていく。彩子があの年頃には、土日は部活に燃えていたし、男の子と遊ぶなどという経験は一度もない。 ふと、窓に映る自分に気がつく。 どうにも野暮ったいと、自分でも思う。ファンデーションと薄い口紅だけの化粧。眉の手入れも自己流で、ほとんど適当。 髪も男の子みたいに短くて、あろうことか寝癖がついている。朝からずっと、この頭で出歩いていたとは、自分でも呆れてしまう。 とにかく、24歳の女らしくない。
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