愛しているから、さようなら

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月明りに照らされたダブルベッドの上で一人きり――私は頬に伝った涙を指で拭っていた。 今でも、貴方を愛している事には変わりない。 この感情は私の命が尽きるまで変わらないし、私を恍惚とさせる貴方の柔らかい舌触りは――今でも私の身体に刻み込まれて、忘れられないものになっている。 でもね。 「愛している」という気持ちだけでは、どうにもならない事もあるの。 実際貴方は――私を甘やかしすぎたでしょ?だから私は、こんな女になってしまったの。 ギシッと軋むベッドから立ち上がり、腫れた瞼を冷やす為に洗面所へ向かう。 蛇口から溢れ出る冷水で顔を洗うと、貴方を欲する気持ちから少しだけ解放される。 でもそれは、ほんの一瞬の事。 昨夜、自分から別れを告げたばかりなのに――貴方に会いたくて堪らなくなる。貴方の事を舐めまわして、火照った身体に甘い液体を取り込んで――何度も何度も欲求を満たしたくなる。 怖いよ。 怖いのよ……。 洗面台の横に置いてある、体重計に目を向けた。 体重計に乗るのが、もう怖くて仕方がないのよ――だから、もう本当にさようなら。 魅惑たっぷりのアイスクリーム……。
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