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それからずっと、僕も霧島も同じ部屋にいた。だいぶ距離はあけて。
客間に戻ればいいのに。いや、僕が行けばいいのか。
けれど、何故か足が動かない。視界の端で霧島を確認してしまう。
そうこうするうちに、八月は目前に迫っていた。カチコチと時計の針が進む。
カチリ。
十二時を指した瞬間、溶けるように周りの風景が消えた。ぐにゃりと足元が歪む。
まばたきをした時には、そこは家の中ではなかった。
照りつける太陽、青空、熱風。電車が去ってゆく。
「ループ確定、ですね」
同じ景色の中、涼しい顔で霧島涙は言った。
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