3.不協和音

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「今日で何回目ですかねぇ」 「さあな」 「そろそろユイさんの手料理が恋しくなってきました」 「習った料理しかできない程度の腕で?」  畳に横になり、目を瞑ったまま返す。どうせ次の日には元通りだ。何もする気になれない。 「僕、思ったのですが」  近づいてくる気配がする。 「ループの原因は、僕らが出会ったことじゃないですか?」 「かもな。で?」 「似て非なるモノが二人。そのせいで八月に行けないなら、僕らが別れればいいのでは?」 「電車で帰ってもダメだったのに?」 「ですから、もっと直接的に。二人もいるのがダメなら、」  首に冷たいものが触れた。 「一人を消してしまえばいい」
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