3.不協和音

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 静まり返った部屋で、僕は自分の手を見た。……涙で濡れている。  数秒間、躊躇う。そして、家を飛び出した。  外は真っ暗だった。月明かりに照らされる、男にしては華奢な背中が遠くにあった。 「霧島!待てよ!どこに行くんだよ!」  霧島は立ち止まらない。聞こえていないのか、どうか。  散々好き勝手して、無視するなよ。腹が立つ! 「ルイッ!」  霧島が足を止め、ふり返った。硬直しているうちに加速する。驚いた顔が見えてくる。  僕は息を切らし、霧島の手首を強くつかんだ。 「ふざけんなよ!何が理解してくれると思ったのに、だ。あんただって僕のことわからないだろ!そもそも、」  全く同じ位置にある顔を、泥の瞳を睨む。 「僕とあんたは別の人間なんだよ!」
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