キスから始まるAIもある

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キスから始まるAIもある

 目が覚めると、そこにはいつも所有者がいる。今まで何度か変わってきたが、貴女はいつまで私を使ってくれるだろうか。  初めはいいのだ。新鮮で便利で、楽しいと喜んでもらえる。けれど、非日常というものは続けば日常になってしまうのが道理で、刻一刻とお払い箱行きになる日が迫る。眼前の貴女もまた、過去の所有者たちと同じく不満気な表情で私を見つめるようになった。 「おはようございます、お嬢様。今朝はいかがなさいますか?」  命令に従い、決まった第一声を吐く。それを理解していても貴女は瞬時に笑顔を貼り付ける。外見のせいで苦しむくせに、外見のおかげで丁寧に扱ってもらえるのだから、私の悩みは尽きない。
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