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最後の一枚を拾って積み上げたその瞬間、がちゃりと音を立てて直ぐ側の英語教室との境のドアが開く。
そして、やにわに入ってきた人影がしゃがんだ私に躓いた。
「うわ…」
「キャッ!」
私に躓いた誰かは辛うじて持ちこたえるも、私の積み上げたケースをガシャンと蹴飛ばした。
「あ!ごめん!」
その人は
初原先生だった。
そして先生は私の脇に屈み、
「大丈夫だった?南条さん」
と言った。
「先生、私の名前…知ってるの?」
驚いた私に先生は
「映研の南条さん、でしょ?」
と言って微笑む。
春休み、初めて逢った時と同じ、とろけるような甘くキラキラの笑顔で─
途端に私の胸が早鐘を打つ。
先生は私に怪我がないことを確認すると、再びケースを拾うのを手伝ってくれた。
それから、
「一番上?」
と言って上の段に手を伸ばす。
「先生、届きます?」
「失礼だな。届くよ」
先生は苦笑いして棚にしまっていく。
小顔だから華奢で小柄に見えていたけれど、実際はそうでもなくて、その手は明らかに私より楽々上の棚に届いている。
私は先生の端正な横顔を黙って見上げていた。
先生は全てしまうと、机の上にまだ残っている片付けかけのDVD達をちらりと見た。
それから私の方に向き直って
「片付けてくれてるの?手伝うよ。」
と言った。
「…え」
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