564人が本棚に入れています
本棚に追加
翌日。
ギラギラと太陽が陽炎を立てる猛暑日。
夜みんなで花火をすることになったので、後輩たちが撮影をしている間に私と揺花はその買い出しに行った。
宇都宮は撮影に同行していたので、私は揺花に
「撮影の方に行けば良いのに」
と言ったけど、揺花は笑っているだけだった。
それ以外は昨日同様私と揺花は特に合宿らしいことをするでもなく夕方になり、食事や入浴を終えた私たちは後輩と共に庭に集まった。
先生と宇都宮も一緒だ。
全員が揃ったところで花火大会が始まる。
手持ち花火が配られ、蝋燭から火を付けると、鮮やかなオレンジ色の光が弾ける。
それとほぼ同時にあちこちから歓声が上がる。
私と揺花は一緒に花火の輪の中にいて、紅い炎がパチパチした花火が可愛いと見せ合ったりしてはしゃいだ。
手元に配られた数本がなくなると
「貰ってくるね!」
と揺花が取りに行った。
「ありがとう」
答える私の手には今火を付けたばかりの花火が眩しい閃光を放っている。
眼が眩むようなその光は、まるで夜の中に小さな小さな昼の世界が現れたように、そこだけがとりわけ明るく照らされる。
最初のコメントを投稿しよう!