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「揺花のせいでしょー!
揺花こそ可愛い系の顔して天然発言するから不安になるわ…」
「ええっ!それって褒めてる?ディスってる?」
「お好きな方でとっていただいて良くてよ」
「えー!もうっ!」
きゃはは、とじゃれあいながら桜の花びらが舞う渡り廊下を二人で講堂に向かう。
クラスの列に並ぶと、始業式が始まるまで揺花と春休みあったことを話したりしていた。
春休みあったこと、と言っても大半が塾の春期講習で、これといったこともないのだけれど。
でも。
(あ、そう言えば春休みと言えば…)
春休み唯一印象的だったことがふと過る。
『君、いいね』
という台詞と共に、キラキラの甘い笑顔の美少年。
(私ってば何思い出してるの!)
ふと恥ずかしくなり、思わずぶんぶんと頭を振る。
「舞奈?」
気付いた揺花に呼び掛けられ、ますます恥ずかしくなる。
「あ、ほら!式始まるよ!」
私は火照ってしまう顔を見られないように言った。
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