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「2ってっ!!」
オレは叫び、大声で笑った。
今は午後9時。
今日は少々早いのだが、部下たちは全員帰って行った。
恒例の飲み会の日なので、オレは少々気を使って、
「さっさと帰れ」と言ってやったのだ。
オレにもお誘いの声はあったのだが、
『上司突き上げ会』に上司がいては肩が凝るだけだ。
その旨も正確に伝えて丁重にお断りした。
オレは今、ある適性検査をした。
その結果が、20段階評価でたったの2だったのだ。
【子供の心=2】
入社前にセルフチェックをしたこの適性検査で、
子供の心は満点の20だったのだ。
オレは、首からぶら下がっているIDパスを見た。
【科学技術部 部長 御座成創造】
オレはたった10年でこの称号を手にした。
―― ああ、そうだ… オレはこの肩書きが欲しかったんだ… ――
そしてオレは早速辞表を書いた。
そしてもう一度適性検査を行なった。
なんと、子供の心が5にまであがったではないかっ!!
オレは書き終えた辞表を、担当重役の秘書に提出した。
秘書の唇は振るえ、帰ろうとするオレを引き止めた。
「ダメです、御座成部長っ!!
これは受け取れませんっ!!」
「専務は帰られたんでしょ?
明日で構いませんのでお渡し下さい」
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