僕が捨てた物語

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僕達が仲良くなるのに時間はかからなかったが、仲良くなった後もお互いがどういう人なのか性格みたいなものを言葉では聞かなかった。 僕が彼女にそれを聞かなかった理由は、彼女が書く歌詞で彼女の人間性がわかるような気がしたからだ。そして、それは彼女も同じだった。 彼女も僕の書く文章で僕という人間を判断していたようだ。そのことに対して驚いたというのもあったが、同時に嬉しくもあった。 しばらくして、意外にも彼女の申し出により僕たちの付き合いは始まった。 僕みたいなタイプの人間が回りにいないらしい。それはそうだろう。あんなに輝いている世界に僕のような人間がいるはずもない。 光り輝かない僕に興味を持ったのだろうと推測した。 彼女からの申し出を受けた時、これまで生きてきた中で『嬉しい』と感じた感情を全て足してもまだ足りないくらいの嬉しさを感じた。 彼女と付き合い初めてからは、幸せの一言だ。何もかもが幸せだった。 そして彼女ははやり、書く詩のとおり優しくて素敵な女性だった。 僕はこの幸せがずっと続くと思っていた。 しかし、1年が経とうとするころ彼女に転機が訪れた。
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