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『本日の選択を記入してください』
堅い音声が今日も白い部屋に投げ入れられる。無機質で一様に代わり映えのしない空間に。
目の前に浮かんだのは二つの単語だった。またこの部屋に来たのかと、もう嫌だと言いたくなる。
これまでだって沢山捨ててきた。他にもう何もいらないとも確かに言ってきた。だけど捨てれば捨てるほど苦しくなる。取り戻そうとするとまたあの面倒な世界に放り込まれる。
『趣味』
『寿命』
そんなの趣味に決まってる。今まで何を犠牲にしてきたのか、この部屋はわかっていない。
これまでつぎ込んできた額を知らないんだろう、仕事を辞めたことで沢山遊べるようになったんだ、生活はギリギリのところになってしまったが、病院も行くことをやめたおかげでまた課金ができるようになったんだ。新作のタイトルだってたくさん制覇している。会話の弾む相手もできたがすぐに次のタイトルに気が削がれている奴らなんてどうでもよくなった。
わかるか、愛しているんだ。
これまで注ぎこんできた●●●●万が消えうせるなんて、許されない。
寿命を捨てた。
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