○○日目

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『本日の選択を記入してください』  堅い音声が今日も白い部屋に投げ入れられる。無機質で一様に代わり映えのしない空間に。  目の前に浮かんだのは二つの単語だった。また今日も一日が来るのか。 『家』 『趣味』  そりゃ、趣味を残すに決まっている。  家は小さくなっても構わない。グッズを飾れて電気を得られる屋根があればいい。  通路へと出た。スマートフォンを握り、部屋へと出て目を見開いた。  グッズがどこにもなかった。それどころか部屋には何もない。スマートフォンを握った手はカサカサになり、端子から垂れ下がったUSB充電ケーブルは差し込む先を塞がれていた。  人が入ってくる。さっさと出ろと追い立ててくる。  冷たい人の目を受けて、家を追い出された。  いつの間にか両親は死んでいた。随分と会話もしていなかったから全く気づかなかった。手元にリュックすらもなかった。  そもそもどうしてサービスが終了する。今まで積み上げてきたものが全部なくなるなんて理不尽だ。運営に訴えたが回答はどこにでもありそうなテンプレート文書だった。  ふざけるな、ふざけるな、ふざけるな  だってあれだけ愛を注いできたんだ。金を注いできたんだ。体だって削ってきて愛を注いだんだ。  終了するなんて誰が許すんだ。まだここにやっている奴がいるんだぞ、金を返せ。お前の会社に存在価値は他になかったんだぞ!  もう金は全部注ぎ切った。これ以上どこから何が出る。何をすればあのゲームが戻ってくる。  ゲームにもう一度ログインしようとした。画面は真っ暗なまま、映像が輝くこともない。  ただの箱に吠えた。
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