番外編【瑞樹編】第四章

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キスにも愛撫にも、俺に身体を預けて与えるままに感じていてくれていた彼女が、秘部に触れた時だけびくっと明らかに怯えを見せた。 さっきまで溶かされていた身体も一瞬で硬くなったのが分かる。 「大丈夫?」 俺の問いに小さく頷いてくれたけれど、身体は緊張しているのか硬く閉ざされたまま。 瞳が揺れていて彼女の不安が伝わってくる。 それが久しぶりの行為に対するものなのか、弟以外の男に抱かれる事に対するものなのか。 今まで男の部分を出さないようにしていた、俺が見せる欲望に対する戸惑いもあるのかもしれない。 慎重に手のひらでゆったりと刺激を与えながら秘部を撫でる。 そこがちゃんと蜜で濡れていたことにほっとしてそのまま指を這わせた。 彼女の中を確かめるように指を埋めていく。 無理をしていないか、義兄と身体を重ねる事に少しでも彼女の中に拒絶がないかを慎重に見極めていた。 初めは戸惑い、強張っていた身体もだんだん素直に俺の指に反応してくれるようになっていく。 指をくの字に曲げて壁の内側を刺激するとひときわ甲高い声が上がった。 蜜肉が指に力強く吸い付いて伸縮を繰り返す。 中はすっかり解けているのに、準備を整えた自身を蜜穴にあてがうと彼女の顔が歪んだ。 思っていたよりも小さくて狭いその場所は、自分のものを上手く飲みこめずに奥への侵入を阻む。 気持ちが混乱しているのか身体がまた少し強張ってしまう。 多分、一気にいってしまっても痛みを感じる事はないとは思うけれど。 彼女に万が一でも苦痛は与えたくない。 一度抜いてしまったほうが楽になるかと思い少し身体を離そうとしたところで、彼女の必死な声に引き留められた。 「離れないでっ…」 びっくりして動きを止めて彼女を見ると、涙でぐしゃぐしゃに濡らした顔で甘く、切ない瞳を俺に向けていた。 「離れるほうが、しんどい…から」 その言葉で箍が外れた。 弟を何度思い出しても、比べてもいいなんて言っておいて。 あんな事言ったばかりで本当に格好悪すぎるけど。 もうそんなのどうでもよくなるくらいに彼女が欲しくて堪らない。
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