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「よし、じゃあ行ってみよう! 妖精さん、さっきは友達がごめんね……もしまだ助けてくれるなら、その人のところまで案内してもらってもいいかな……?」
「まだ体が痛むし、お返しは君の肩に乗せてもらえればそれでいいよ。道も案内してあげる」
「ずいぶん安い代償ね。殺されかけたんだから、もっと要求するものだと思っていたわ」
「リリーっ!」
「君にする訳ないだろ。それに、彼は僕を助けてくれたんだから道案内はそのお礼さ」
ハボックの肩に乗る妖精がしかめ面でリリーを睨みつけると、リリーは妖精の視線を無視してそっぽを向いた。
「ま、まぁまぁ。それじゃあ妖精さん、道案内をお願い」
「あいよ。この先の方角をまっすぐ進んでいってくれ」
ハボックの肩に乗った妖精の光を頼りに、二人と一匹は森の中の奥深く、精霊樹に居座る人物の家を目指す。
ハボックは未だに恐怖を拭いきれていないが、家に帰れるかもしれないと希望を抱きながら足を速める。そんなハボックに対し、リリーは自分が求めるものが本当に手に入るのかと疑念を抱いて、ハボックの後ろを付いていく。
不安と期待、希望と疑念のそんな二人の向かう先に、妖精は一人眼を光らせる。
――――自分を痛めつけた愚かな人間たちにいずれ来るであろう報復の時を待ちわびながら。
To be continued.
おまけ(ハボックの設定画)
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