EP.17 原住民――。

5/5
前へ
/91ページ
次へ
 よくよく考えてみれば、二人と逸れてからかなりの時間が経っている気がする。 主人と一緒にいるとはいえ、重篤のリリーがまだあの"森"の付近にいるのだとすれば、危険な事態に遭っていないか心配になる。 「そんな……」  不安から胸の内が張り裂けそうだ。もしもリリーの身に、命に何かあったらどうしよう。 大切な友達が自分が知らない間に、本当にいなくなってしまっていたら……?  それを考えたら、乾いていた目にまた涙が滲んできた。  ハボックが顔をうつ伏せると、シャカムがそっと肩に手を置いた。 「……出来る限り、村の者を捜索に充てよう。ただし、万が一もある事は心しておきなさい」  シャカムはそう言うと、背後で控える男に向かって何かを指示する。男は頷くと、何も言わずに静かにその場から離れて行った。 「ガヴー」 「■■(はい)」  続いてシャカムが名を呼ぶと、同じく後ろで控えていた少年が返事をする。 「■■■■■■■■■■■■■(彼に村を案内してあげなさい)■■■■■■■■■■■(不慣れではあると思うが)……言葉を合わせるようにな」 「わかった」  少年ーーガヴーは力強く頷くと、ハボックの傍へと歩み寄る。 「こっち、いくぞ。あんないする」 「……え? わっ!?」  と素っ気なく言って、ガヴーはハボックの腕を掴むと、後ろの方で群れて集まっている村人たちの方ーー村の中へとスタスタと歩いて行った。  その場に一人残ったシャカムは、二人が村人たちに囲まれながら離れていく様子を静かに見届ける。そして、二人の姿が見えなくなると、シャカムは自らの面に手を掛けて、一人その場で呟いた。 「……■■■■(大切にな)」 To be continued. おまけ(ガヴーとシャカムの設定画) b5799b2c-d777-4bc0-93b0-756e06245356 d2fe6a37-1e02-4d0d-9406-0f3f54c415df
/91ページ

最初のコメントを投稿しよう!

50人が本棚に入れています
本棚に追加