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よくよく考えてみれば、二人と逸れてからかなりの時間が経っている気がする。
主人と一緒にいるとはいえ、重篤のリリーがまだあの"森"の付近にいるのだとすれば、危険な事態に遭っていないか心配になる。
「そんな……」
不安から胸の内が張り裂けそうだ。もしもリリーの身に、命に何かあったらどうしよう。
大切な友達が自分が知らない間に、本当にいなくなってしまっていたら……?
それを考えたら、乾いていた目にまた涙が滲んできた。
ハボックが顔をうつ伏せると、シャカムがそっと肩に手を置いた。
「……出来る限り、村の者を捜索に充てよう。ただし、万が一もある事は心しておきなさい」
シャカムはそう言うと、背後で控える男に向かって何かを指示する。男は頷くと、何も言わずに静かにその場から離れて行った。
「ガヴー」
「■■」
続いてシャカムが名を呼ぶと、同じく後ろで控えていた少年が返事をする。
「■■■■■■■■■■■■■。
■■■■■■■■■■■……言葉を合わせるようにな」
「わかった」
少年ーーガヴーは力強く頷くと、ハボックの傍へと歩み寄る。
「こっち、いくぞ。あんないする」
「……え? わっ!?」
と素っ気なく言って、ガヴーはハボックの腕を掴むと、後ろの方で群れて集まっている村人たちの方ーー村の中へとスタスタと歩いて行った。
その場に一人残ったシャカムは、二人が村人たちに囲まれながら離れていく様子を静かに見届ける。そして、二人の姿が見えなくなると、シャカムは自らの面に手を掛けて、一人その場で呟いた。
「……■■■■」
To be continued.
おまけ(ガヴーとシャカムの設定画)
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